2010.10.10 Sun | 露天商のお話 |
俺はドワだ。 名前は秘密だ。 俺はギランからほぼ出ることが無い。 なぜなら必要がないからだ。 俺はたまに送られてくる荷物を受け取り、それを販売する。 そんな生活を続けている。。。 目が覚めるといつもの北口通路に立っていた。 また道端で寝てしまったか。。。 ん?今日も荷物が送られてきてるな 【差出人 ドン・カルロ】 中にはびっしりと高そうな皮や細かく砕かれた骨が入っている。 針金のような糸がチクチクと腕に刺さって痛い。 それらを愛用のバックの中に詰め込み、日課の広間の散歩に出る。 さて、今日もいるだろうか? 教会前の階段にはいつもと変わらぬ看板で、あの娘は座っている。 【推薦ありがとう!】 もうすっかり見慣れた看板だ。 俺はこの娘が動いているのをまだ見たことが無い! 初めて俺がこの街に来たときからずっとここに座っている。 たまに緑の女性や同じエルフの娘、やたらちっこいドワッ子が近づいているのを何度か見たことはある。でも会話を交わしているのは見たことが無い。 俺と同じ無口なのかもしれないな。 売っている商品も狩りをしない俺には高いのと使い道が無いのでいつも見るだけですましている。 とりあえず日課の推薦でもしておくか、 ぽちぽちぽち 看板の文字を見つめて俺はひとりうなずく。 さて、朝の散歩も終わったし開店の準備でもするか。 特等席である北口通路。ここは素材を扱う奴らが集まっていて居心地がいい、 となりのオバちゃんと挨拶も交わし商品を並べ始める。 【お品書き】 高そうな皮をてんこもり 同じく高そうな布 細かい骨の詰め合わせた袋 チクチクした硬い糸 周りの商店の値段を確認して、一番安い値段に設定する。 俺の店の商品価格は生産者から直接仕入れてるから他の奴にはマネのできない低価格だ。 仕入先も信頼のあるオヤジから仕入れている。なんでも一族で農業をやっている家系らしく、最近は俺と同じドワーフのバイトも雇えるほど繁盛しているようだ。 恥ずかしがりの俺はいらっしゃいもまいどありも言わない。 ただ無言で商品とアデナのやりとりをするだけだ。 俺流の接客は感謝の気持ちを背中で語るだけだ。これで十分うまくいってる。 そんな俺にも夢がある。 いつかあの階段下のエルフ娘の商品を買い占めることだ。 きっと母親か誰かが重い病気で多額のアデナが必要なんだろう。俺にはわかる。 その時にはあの娘の看板はどんな言葉にかわるんだろうか。 そんなことを考えながら今日も北口の夜は更けていく。 ~終わり~ 【今日の売り上げ】 (細かい数字は記入し忘れ) ごっそり買い占められた皮 4000枚以上 同じやつが何度もまとめ買いしてった粉袋 棚一列分 いっぺんに買えよと思う感じでさっきのやつが買ってった布 少し 合計 200mちょい 朝見てビックリ@Д@; | |